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2024.02.22

デザイン思考とは?―UX用語集―

#UXデザイン#デザイン思考#用語集

堀田裕介 堀田裕介

デザイン思考とは、ユーザー中心のアプローチを用いて問題解決をするためのフレームワークです。シリコンバレーのデザインコンサルテイング会社IDEOの創業者であるデイビッド・ケリー氏が、スタンフォード大学でd.schoolを主宰し、デザイン思考を世に広めました。このデザイン思考の考え方は、デザイナーに限らず、様々な分野の人々がビジネスや社会課題に対して取り組む際に役立てることができます。

デザイン思考のプロセスは、以下の5つのステップからなります。

1. 共感:ユーザーの視点に立って、問題や課題について理解を深める
2. 問題定義:問題や課題を明確に定義し、解決すべき課題を特定する
3. アイデア出し:多様なアイデアを出し、可能性を広げる
4. プロトタイプ:アイデアを具体化し、試作モデルを作成する
5. テスト:ユーザーにプロトタイプを使ってテストを行い、改善の余地を見つける

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デザイン思考の5つのステップ

デザイン思考では、このプロセスを通じて、ユーザーのニーズや要求を理解し、創造的で実現可能な解決策を見つけることを目的としています。そして、このアプローチは、ビジネスや社会課題に対する新しい視点をもたらすことができます。

ユーザーエクスペリエンス(UX)

ユーザーが製品やサービスを使用する際に感じる全体的な印象や体験のことを指します。デザイン思考では、ユーザーのニーズや要求を理解し、UXを向上させることが重要な目的のひとつです。

共感マップ

ユーザーの意見や感情を可視化するためのツールで、デザイン思考における共感のステップで用いられます。インタビューや観察などの方法で得られた情報をユーザーの視点に立って理解し、共感マップに可視化することで、ユーザーのニーズやペイン(痛み)を明確にすることができます。また、製品やサービスの改善点を把握し、より良いUXを提供するためのデザインアイデアを生み出すためにも活用されます。

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共感マップ

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルを構築するためのフレームワークであり、ビジネスプランの策定や改善に役立ちます。「①顧客セグメント」「②価値提供」「③販路」「④顧客との関係」「⑤収益モデル」「⑥資源」「⑦活動」「⑧協力者」の、8つのビジネスモデルを構成する要素を網羅したキャンバスを用いて、現在の状況や問題点、改善点を可視化することができます。このフレームワークを使うことで、ビジネスの方向性を明確化し、持続的な成長に向けたアクションプランを策定することができます。

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ビジネスモデルキャンバス

ダブルダイヤモンドモデル

ダブルダイヤモンドモデルは、イギリスの公的機関であるデザイン・カウンシルが提唱した考え方で、課題の見極めを行い、解決策の精度を高めていくためのフレームワークです。「正しい問題を見つける」「正しい解決を見つける」という2つのステップからなり、それぞれのステップにおいて発散と収束を行います。これを図式化したものが、2つのダイヤモンドが組み合わさった見た目をしていることから、ダブルダイヤモンドモデルと呼ばれています。

ダブルダイヤモンドモデルでは、以下のような4つのプロセスから成り立っています。

1. 発見:リサーチなどから得られた情報を注意深く観察し分析をすることで、背景に潜んでいる課題を発散的に洗い出していきます。
2. 定義:発見のフェーズにて洗い出した課題から、取り組むべき課題を絞り込んでいき、課題の明確化を行います。
3. 展開:定義のフェーズで絞り込んだ課題に対する解決策となり得るアイデアを、発散的に洗い出していきます。
4. 提供:展開のフェーズで洗い出したアイデアから、課題の解決策として有効なアイデアを絞り込んでいきます。この絞り込みを行う際に、プロトタイプを作成し検証を行うことで、アイデアの質をより高めていくことができます。

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ダブルダイヤモンドモデル

上記の4つのプロセスの中で「発散」と「収束」を交互に繰り返すことで、より良い解決策を生み出すことができます。

マインドマップ

アイデア出しの際に、出されたアイデアを整理し、関連性を考えてグループ化する手法です。マインドマップを作成することで、様々なアイデアを俯瞰的に把握し、新しい発想を生み出すことができます。

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マインドマップ

プロトタイプ

アイデアを具体的に形にするために作成する試作品のことを指します。デザイン思考では、プロトタイプを作成して、ユーザーが実際に触れたり、使ったりすることで、課題の解決策に向けた改善点を発見し、追加の改善を行うことができます。

デザインスプリント

新しい製品やサービスの開発プロセスを迅速化し、チームのクリエイティビティと効率を向上させるための手法です。Google ベンチャースタジオ(Google Ventures)が開発した手法で、製品開発やイノベーションの領域で広く活用されています。

デザインスプリントのプロセスは、通常以下の通り5日間で集中的に実施されます。

1日目:理解
解決すべき課題や目標、調査から得られたインサイトなどを共有することで、チーム全体の理解を深め、問題の範囲を明確化を行います。

2日目:発散
1日目に明確にした課題や目標などをもとに、それらを解決/実現するためのアイデアを発散的を考えます。関連性のあるアイデアはグルーピングを行い、その効果や実現性を検討します。

3日目:決定
2日目に出したアイデアの中から、取り組むべきものを決定します。その後、ストーリーボードの作成を行い、選ばれたアイデアを具体化していきます。

4日目:試作
3日目に決定・具体化したアイデアのプロトタイプを作成します。画面デザインや仮の機能の組み込みを行い、ユーザーがアイデアを実際に体験できるように仕上げます。

5日目:検証
4日目に作成したプロトタイプを、実際にユーザーに使ってもらうことで検証を行います。行動観察やヒアリングを通じて仮説を検証するとともに、課題や改善点を明らかにします。

デザインスプリントでは、このように短期間でチームが集中して取り組むことで、効率的に解決策を見つけることができます。

イノベーションに不可欠な3つの要素

イノベーションを成功させるには、技術、ビジネス、そしてデザイン思考の3つが不可欠な要素だと考えられています。

1. 技術:新しい技術を開発することで、既存の問題を解決したり、新しい市場を開拓することができます。
2. ビジネス:ビジネスモデルの改善や、新しい市場に参入するための戦略など、ビジネス面においても革新的なアイデアが必要です。
3. デザイン思考:デザイン思考を取り入れることで、ユーザーの体験やニーズを把握し、革新的な製品やサービスを開発することができます。

技術的な面やビジネス面だけでなく、デザイン思考を行うことによって、より革新的なアイデアを生み出すことができます。


今回は、デザイン思考に関する代表的な考え方やフレームワークをご紹介いたしました。ぜひ、デザイン思考を取り入れる際の参考にしてみてください。

堀田裕介

堀田裕介

トランスフォーメーション部門

2020年に電通デジタル入社後、銀行や製薬会社のサイトのリニューアルなど、情報設計を中心としたUIUX業務に携わる。調査の設計・実施や、施策立案などの案件にも携わり、 UIUXデザインおよびコンサルティングに関わる業務の幅を広げている。

※所属は記事公開当時のものです。

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