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2023.04.25

UXリサーチとは?―UX用語集―

#UXデザイン#UXリサーチ#用語集

堀田裕介 堀田裕介

UXリサーチとは、UXデザインにおける手法の一つで、調査を通じてユーザーの心理やニーズを明らかにすることです。UXデザインを行う際は、ユーザーの発言や行動のみならず、ユーザーの価値観やユーザーが置かれている環境等、その発言や行動の背景も同時に汲み取る必要があります。

ひとくくりにUXリサーチと言っても、その種類と目的は様々です。例えば、あるサービスに対するユーザーの満足度を知りたい場合は、一定数のユーザーに対してのアンケート調査が有効です。一方、あるサービスに対する改善点をユーザーの声を取り入れながら検討したい場合には、エスノグラフィなどの調査が有効です。

UXリサーチを行う際は、得ようとしているデータの性質や、そのリサーチを行う目的に応じて、適切な手法を選ぶことが重要です。
本記事では、UXリサーチの代表的な手法を、種類と目的別に解説しています。ぜひ、UXリサーチの手法を選択する際は、参考にしてみてください。

ユーザー調査の種類と目的

ユーザー調査は、収集するデータの性質によって、定量調査と定性調査の2つに分類することができます。

定量調査

人数や割合、満足度など、数値や量として表せるデータを集計し分析する調査方法です。定量調査の代表例には、アンケート調査があります。例えば、「このサービスを利用したことがありますか?」という質問に対し、ユーザーに「はい/いいえ」等で回答してもらうというものです。それぞれのユーザーの回答を集計すると、最終的に「はい」と答えた人は全体の○○%というように、結果を数値化することができます。

定性調査

ユーザー個人の発言や行動など、数値や量としては表せないデータを収集する調査方法です。定性調査の代表例には、インタビュー調査があります。例えば、「このサービスについてどう思いますか?」という「はい/いいえ」では答えられないオープンな質問に対し、ユーザーに自由に回答してもらうというものです。それぞれの回答にはユーザー個人の考え方や行動が反映されているため、その回答に様々な解釈を加えることができます。


ユーザー調査はさらに、その目的によって検証型調査と探索型調査の2つに分類することができます。

検証型調査

立案した仮説や実施した施策に対して、評価と検証を行うための調査です。仮説の確からしさや、施策の好調さを知ることを目的としています。

探索型調査

新たな課題や機会、意識などを発見するための調査です。これまでに認識、着目していなかった事象を浮かび上がらせることを目的としています。

具体的な調査手法

調査手法の分類
調査手法の分類

UXリサーチの代表的な手法には、以下のようなものがあります。

アンケート [定量×検証型]

定量調査の最も代表的な手法のひとつです。ユーザーには選択式の設問に回答してもらいます。選択肢の形式は、「はい/いいえ」や「1~5のうち当てはまるもの」などがあります。回答は数値や量として表せるデータなので、大人数のユーザーに対して実施しても、比較的容易に集計できる点がメリットです。仮説に応じた設問を作成することで、仮説の検証を行うことが可能です。

A/Bテスト [定量×検証型]

ユーザーへの掲示物を、AパターンとBパターンの2種類用意し比較することで、どちらがより効果の高い成果を得られるのかを検証する手法です。それぞれのパターンのコンバージョン率や遷移率などを数値で比較することができるため、施策の最適化に活用することができます。

テキストマイニング [定量・定性×探索型]

膨大なテキストデータから、必要な情報や有益な情報を抽出する手法です。アンケートの自由回答やコールセンターへ寄せられた問い合わせの記録、SNSや口コミサイトへの書き込みなど、様々なテキストデータから情報を抽出します。抽出したテキストデータをそのまま定性データとして扱うことができ、また、データを数値として集計することで、定量的なデータとしても扱うことができます。

アイトラッキング [定量×探索型]

ユーザーの視線の動きを追跡することで、何をどの程度見ていたかをデータとして表現する手法です。ユーザーが見ている箇所と見ていない箇所、見るのに時間をかける箇所とかけない箇所、何度も見る箇所と一度しか見ない箇所などがわかるので、レイアウトやUI、デザインの改善示唆として活用できます。

ユーザビリティテスト [定性×検証型]

状況設定や課題をユーザーに示し、実際に機器やサービスを操作してもらいながら、そのユーザービリティを評価する手法です。ユーザーが操作している行動だけでなく、操作中の発言や操作後の発言も合わせて記録し分析することで、ユーザービリティをより詳しく評価することができ、機器やサービスの改良に活かすことができます。

ヒューリスティック評価 [定性×検証型]

ユーザビリティの原則やガイドラインの知識を有する専門家が、機器やサービスのユーザビリティを評価する手法です。3~5人の専門家が個別に評価を行った後に、それぞれの専門家が明らかにした問題点を照らし合わせ、抜けもれなく整理するのが一般的です。

フォーカスグループインタビュー [定性×検証型]

共通する属性を持つユーザー6人前後を1つのグループとし、そのグループに対して提示したテーマについて自由に発言をし合ってもらう座談会形式のインタビュー手法です。ユーザー同士の相互作用がはたらくことで、様々な意見を収取することができます。

デプスインタビュー [定性×検証型]

1人のユーザーに対して行うインタビュー手法です。インタビュアーがユーザーと1対1で話を聞くことで、他者の意見による影響を受けることなく、ユーザーの本音や潜在的な意見を深掘りすることができます。

コンテクスチュアルインクワイアリー [定性×探索型]

ユーザーが機器やサービスを実際に使用しながら説明を行い、インタビュアーがその様子を観察しながら適宜質問を行う手法です。ユーザーが機器やサービスを使用する際に何を考えているのかをユーザー自身の言葉で知ることができます。

エスノグラフィ [定性×探索型]

機器やサービスを使用される現場に足を運び、その状況をユーザーとともに実際に体験しながら観察を行う手法です。セッティングされた調査の場とは異なり、取り巻く環境も含めてありのままの行動を観察することができます。

フォトダイアリー [定性×探索型]

ユーザーの普段の生活の中から、テーマに沿った写真を撮影してもらう手法です。ユーザーが日々実際に目にしている風景を知ることができます。近年のスマートフォンの普及に伴い、ユーザーにより簡単に負荷なく実施してもらうことが可能になりました。


UXリサーチの手法は、今回紹介した以外にもまだまだあります。UXリサーチを行う際は、それぞれの特徴を知った上で、適切な手法を選ぶようにしましょう。

堀田裕介

堀田裕介

CX/UXデザイン第1事業部

2020年に電通デジタル入社後、銀行や製薬会社のサイトのリニューアルなど、情報設計を中心としたUIUX業務に携わる。調査の設計・実施や、施策立案などの案件にも携わり、 UIUXデザインおよびコンサルティングに関わる業務の幅を広げている。

※所属は記事公開当時のものです。

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