SHARE

サムネ画像

2024.10.09

ついにVR/ARの時代到来!?~AWE USA 2024 & Vision Pro体験会レポート~

#VR/AR#セミナーレポート#生成AI

夏秋湧成 夏秋湧成
2354, 2354, プロフィール画像_鈴木凱士, プロフィール画像_鈴木凱士-1.jpg, 431216, https://xp-plus.jp/wp-content/uploads/2024/06/プロフィール画像_鈴木凱士-1.jpg, https://xp-plus.jp/reports/article_42/attachment/%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%ab%e7%94%bb%e5%83%8f_%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%87%b1%e5%a3%ab-2/, , 10, , , %e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%ab%e7%94%bb%e5%83%8f_%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%87%b1%e5%a3%ab-2, inherit, 2356, 2024-06-28 00:46:13, 2024-06-28 10:28:19, 0, image/jpeg, image, jpeg, https://xp-plus.jp/wp-includes/images/media/default.png, 2316, 2316, Array 鈴木凱士

今や一時ほどは耳にしなくなった「VR」や「AR」。しかし水面下ではその進化を続けており、最近再びXR*業界に世界的な注目が集まっています。
本記事では、そんなXR業界における世界最大イベント「AWE USA 2024」について、実際に現地で参加された電通デジタルの真壁 俊さんにご紹介いただく とともに、その後社内で開催された「Apple Vision Pro 体験会」の様子をお伝えします!

*XR:拡張現実(AR)や仮想現実(VR)や複合現実(MR)を合わせた総称


<イベントレポーター>

イベントレポータープロフィール

・真壁 俊
2020年、電通入社。大学在学中の起業経験から企業の事業変革および成長の一端を担いたいと考え、ビジネスデザイン領域にて企業との共創型プロジェクトを推進。2021年より電通デジタルへ出向、事業会社の新規事業開発支援を主に担当している。

「AWE USA 2024」参加の経緯

私が所属する電通デジタルはパナソニック様との共同プロジェクトで、AR技術を活用した「オドルGift(ARギフト)」というサービスをリリースしています。今回の「AWE USA 2024」参加の経緯としては、開発パートナーでもあるデザイニウム様の出展ブースの一部をお借りし、PoCとプロモーションの一環として出展しました。
加えて、普段ご支援する企業様の中でもXRをはじめとする新しいテクノロジーを使ったプロジェクトに関心をもたれているケースがよくあることや、今後XRの商用利用活発化の見立ても参加の後押しとなっています。

AWEとは

AWE(Augmented World Expo)とは、2010年から開催されているXRに焦点を当てた世界最大のイベントです。
「拡張現実や仮想現実、その他の没入型テクノロジーの専門家の広範なネットワークを醸成する場」として、年々広がりを見せてきました。
現在では5,000以上の企業と60,000人の来場者が集まり、XRビジネスやそのエコシステムを語る上では外せないイベントとなっています。
今回はアメリカのカリフォルニア州ロングビーチにて3日間に渡り開催され、登壇者は500人以上、展示ブースにも1,000を超える出展者が集まりました。

【2024年のテーマ “You’ll Feel Spatial. We Promise.”】
和訳すると「空間的な体験をお約束します」という意味になります。
近年ではAppleがVision ProやiPhone 15で”Spatial Video(空間ビデオ)”を搭載し、”Spatial(空間的な)”が昨今キーワードとなっています。
これはVR/MRにおける空間的な広がりや体験を表すとともに、来場者数が年々増加し技術の進展が続く中で、かつては企業向けに限定されていたテクノロジーが徐々に一般消費者にも広がりつつある現在を上手く捉えたワードです。

CEOのOri Inbar氏のメッセージ ”The time is now.”

CEO Ori Inbar氏によるメッセージ

CEO Ori Inbar氏によるメッセージ ※画像は担当者撮影

毎年の名物となっている、AWEのCEO Ori Inbar氏によるキーノートでのメッセージ。
2023年のメッセージは”XR is hard(XRは難しい状況下にある)”だったのですが、2024年は大きく変わり”The time is now(今こそXRの時だ)”と強調されていました。
2023年は「AI」に世界的な注目が集まったこともあり、XRやメタバースへの関心が薄れている状況でした。しかし2024年はついにXRの時が来たということで、先のメッセージと併せて以下の理由も話されていました。

【”The time is now” である4つの理由】
①AIに次ぐテクノロジーの成長市場であること。2024年は約5.6兆円、2027年には約12兆円に成長する見込み。
②名立たる企業(AppleやMeta、Google)の参入。特にMeta Questの販売軌道は、iPhone発売当時の軌道に類似している。
③企業向けの売上71%に対して、消費者向けの売上が29%まで増加。今や10代の4人に1人がXRユーザーに。
④人間の手でXRとAIを組み合わせることで、さらに機能的かつ安全になっていく。

【もう1つのメッセージ 「XRの過去を知り、未来を創ろう」 】
また、AWE始動から15年の節目ということで、現在の成果に繋がったこれまでの困難な道のりや障壁について紹介。また、その歴史に基づいてXR業界に影響を与えた101人の表彰も行われました。

XR業界における近年のトレンド

続いて、AWEの様々な展示を通して見えてきた近年のXRのトレンドを3つご紹介します。

近年のXRの3つのトレンド

近年のXRの3つのトレンド ※画像は公式サイト・公式SNSより引用

①VR/ARからMR(複合現実)へ
VRゴーグルよりMeta Quest 3、Apple Vision Pro等のMRデバイスを用いた展示が圧倒的に増加していました。MRや空間コンピューティングに向けたデバイスのシフトが起きていることがうかがわれます。

②開発基盤が盤石に
AWEで発表されたNianticのNiantic Studioや8th Wallのほか、SnapのLens Studio、STYLYのSTYLY Studioなど、開発者やクリエイターを後押しする開発プラットフォームサービスが多数出現してきており、サービス開発の更なる活発化が見込まれています。

③日本企業も奮闘
ドコモQONOQに加えて、SONYやサイバーエージェントなどもAWEに登壇。またデザイニウム、Graffity、palanなどのスタートアップ企業も出展しており、STYLYはイベント内でアワードを受賞するなど、大きな存在感も示していました。

※AWE USA 2024での実際の企業事例や登壇内容の詳細については以下の記事にてご紹介しております。

「XRは未来の顧客体験をどう変えるか?「AWE USA 2024」の視察で見えてきたこと」

https://www.dentsudigital.co.jp/knowledge-charge/articles/2024/2024-0920-awe

社内で Apple Vision Pro体験会を開催

AWE USA 2024を終えてから、今年のAWEにも出展されていた株式会社デザイニウム様(https://www.designium.jp/)のご協力のもと、電通デジタル社内で「Apple Vision Pro」の体験会を実施しました。

Vision Pro体験会の様子

前述の通り、今やVision Proをはじめ次世代のXRデバイスが続々と登場していますが、そうした次世代デバイスが一通り出揃い、ある程度の実証実験も完了する2025年以降には、ビジネスでの活用が本格化していくと言われています。そのため今回の体験会も、XRやメタバースを概念だけでなく実体験としても理解し、どう活用すべきかを経験ベースで具体化できるメンバーを増やしていくことを目的に開催しました。

※以下、体験会に参加した記事編集者のコメント
【体験内容】

上記の目的から、今回の体験会では単純な立体映像やVRゲーム等だけでなく、海外企業が既にリリースしているコマース系XRアプリなどビジネス文脈のアプリの体験も行いました。
特に印象的だったのは、アメリカに拠点を置くスニーカー小売店が展開するコマース系アプリです。
このアプリでは、まるで現実の店舗を訪れたように目の前に陳列棚と数多くのスニーカーが出現します。そしてその中から気に入ったスニーカーを手に取ったり、360°自由に回転させながら閲覧したりすることが出来ました。また手に取った靴の詳細や価格といった必要な情報がアプリ内ですべて閲覧でき、そのまま実際に購入することまで可能です。会議室にいながら、実際にショップに行って商品を手に取ったようなリアルな体験を感じることができました。

また併せて、オーダーメイドのスニーカーを作成できるアプリも体験しました。このアプリでは最初にベースとなるスニーカーを選び、手でつかんで360°閲覧しながら、ソールや靴紐、舌などの各パーツの色、素材を自由に変更して、自分好みのスニーカーにカスタマイズすることが出来ました。
変更した内容は目の前のリアルなスニーカーの3Dモデルに瞬時に反映されるため、具体的なイメージを抱きながらカスタマイズできる点が魅力的でした。

【感想】
今回体験したXRアプリでの購買体験には2つのメリットがあると感じました。
まず1つ目は商品イメージが非常に湧きやすい点です。アプリ内で三次元の商品を手に取り細部まで確認できるため、従来のオンラインショップと比べ、購入後のイメージが格段に掴みやすくなります。特にオーダーメイド商品では完成イメージが事前に把握しやすくなり、購入への安心感も大きく高まるため、特にメリットを感じました。

2つ目は比較のしやすさです。まるでお店を貸切ったかのように目の前の空間に複数の商品を自由に並べて比較できるので、従来のオンラインショップはもちろん、在庫や混雑などの制約があるリアル店舗と比べても快適でシームレスな比較検討が可能でした。

現時点では、スニーカーの生地の質感などまだ現実との差を感じる部分もありますが、XRデバイスの普及とともにこれらの点も今後改善されると思われます。加えてスタッフとのリアルタイムでの会話もできたりするようになれば、「XRアプリ上で商品を購入する」という選択肢も一般的になり、多くの人々にとって当たり前になっていく日も遠くないのではないでしょうか。特に靴や衣服など「実際に手に取って試すこと」が重要視される商品において、XRアプリのリアルな表現力は非常に高い親和性を持っていると改めて感じました。

XRが展開していく未来への考察

最後に、今後XR業界がどう発展していくかについてAWEの内容を踏まえた考察を4点ご紹介します。

XR業界の4つの考察ポイント

XR業界の4つの考察ポイント ※画像は担当者撮影

考察①:AIとの掛け合わせの可能性
以下のように、初めは敵対する技術か と思われていたAIに対して、実は掛け合わせによる相乗効果の可能性が見出され始めています。

【XRとAIの関係性の変遷】
2023年 「XRはAIに淘汰されてしまうのか…」
・AIの注目やメタバースの減退で、XR関心の希薄化や界隈で不安視する声が上がっていた。
・これらを踏まえ、AWEでは”XR is HARD.”というテーマが大きく扱われていた。

2024年 「もしかしてXRとAIってすごく相性がいい?」
・生成AIとの相性は様々な角度から検証されつつあり、AIを取り入れた事例が多くみられた。
・前年の不安を払拭したのが本年のAWEであり、”AI♥XR”というワードも使われた。

2025年 「さあ、AIの力を借りて何を実現しよう!」
・XR業界がAIをどのように利用し、発展させていくかがこの1年のカギになると考えられる。
・例えば…「リアルタイムで空間が変わる」「パーソナライズ/最適化が進む」など

考察②:XRデバイスの未来と期待
【ヘッドマウントデバイスの進化】
個人が娯楽で楽しむだけではなく、医療や建築現場などでの活用も進められており、今後産業全体の活性化への貢献が期待できます。
デバイスそのものについては、多くの企業が市場参入している状況かつ既存デバイスに改良の余地が多く残されているため、進化の過渡期がしばらく継続すると思われます。

【触覚/操作拡張性の活用】
既に職業トレーニング等で触覚や操作拡張の技術は存在し、利用され始めています。
特に、危険な現場における業務の研修や小さなミスが大きな損失に繋がるケース(医療品工場ラインなど)での活用が期待されています。
今後はデバイスそのものの進化と、より様々な技術やサービスとの統合が見込まれます。

考察③:普及にあたって抱える課題
【デバイスの進化のポイント】
デバイス自体の小型化や重量の軽量化、バッテリー小型化および長時間対応など、メガネと遜色ない大きさや付け心地にならなければ、生活者の日常利用は進まないように感じられます。
事実、例えばApple製品はiPhoneであればガラケー、Apple Watchは時計など、これまで既に受容されたデバイスのみを代替してきており、今回の「Apple Vision Pro」などは新たな挑戦と言えます。

【コア体験の創出】
現状、産業でシミュレーションやコラボレーションツールとしての利用はあるものの、生活者間での利用においてはコア体験のような、日常生活で欠かせない役割がありません。
XRでなければ体験できず、なおかつそれが人間関係や普段の生活に必要であると認識されなければ、特定の業界やエンタメ文脈での利用に閉じたままともなり得ます。

考察④:社会と顧客体験をどう変えるのか
【提供すべき未知の体験とは】
XRデバイスは手で持ち続ける必要がないため、生成AIと組み合わせれば、自動で好みに合わせて流れ続ける昨今のSNSリール動画のように、またはそれ以上に「好きなものだけを享受し、嫌いなものは事前に回避し続ける」ことも可能です。
こうした「受動的な体験」を続けた先には、どんな未来があるのでしょうか。

【我々のサービスの価値】
・何も考えず生きても「好きなもの」が目の前に出され続ける
・消費者側でも何事も作ろうと思えば作れてしまう
→そうした世の中で求められるサービスとは何か?
「なぜやるのか・なぜ必要なのか」のように、人として本質を捉え、自ら選んでいくが力や意志がこれまで以上に求められていくと捉えています。テクノロジーの発展がより良い未来に繋がっていくように、今後も世の中の様々な変化を注視しながら尽力して参ります。

おわりに

電通デジタルでは最新テクノロジーのキャッチアップを含め、社内勉強会など様々な取り組みを行っています。
もし「AWE USA 2024」における詳細な登壇企業のレポートやXRデバイスの体験、その他電通デジタルにご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考URL

・AWE 2024 公式HP

https://www.awexr.com/usa-2024

・ Apple vision pro

https://www.apple.com/jp/apple-vision-pro/

・株式会社デザイニウム

https://www.designium.jp/

・オドルGift(ARギフト)

https://ec-plus.panasonic.jp/store/page/campaign/armsg/

夏秋湧成

夏秋湧成

トランスフォーメーション部門

マーケティングのコンサルティング企業にてリサーチャー/アナリストを経験したのち、2023年に電通デジタルに入社。UXデザイナーとして新規サービスの戦略策定からシステム開発まで幅広く担当。

※所属は記事公開当時のものです。

鈴木凱士

鈴木凱士

トランスフォーメーション部門

2023年に電通デジタルに入社。UXコンサルタントとして、定量・定性分析やサイトにおけるIA・UI設計、オフラインチャネルでのUX施策立案・実行支援などに携わる。

※所属は記事公開当時のものです。

RELATED REPORT

EXPERIENCE+は、株式会社電通デジタルが運営しているUXデザインメディアです。

ビジネスに役立つUXデザインのナレッジ・ノウハウについて、コラムやインタビュー、
体験レポートや書評コラムを通して発信しています。

サービスの詳細や詳しい説明をご希望の方は、こちらのボタンよりお問い合わせください。

CONTACT お問い合わせ