2021.03.02
【UXデザイン初級編】今すぐ実践できる「3つの習慣」
はじめに
本記事は、UXデザイナー3年目の筆者がこれからUXデザイナーになりたい、UXデザインのスキルを取り込みたいと思っている、新入社員や若手社員へ向けて書いたものです。
Webサイト設計におけるUXデザイン
Webサイト設計におけるUXデザインとは、「何らかの目的を持ってWebサイトに流入してきたユーザーにストレスなく目的達成してもらえるよう、戦略的に設計すること」であると考えています。Webサイト内の画面だけを考えれば良いという訳ではなく、流入する前・利用後のユーザーの心理やシーンを想定して一連の体験として設計することが大切です。
UXを向上させるためには、設計時に以下5つの要素について検討を進めていく必要があります。制作プロセスは下のレイヤーから順に上のレイヤーへと進み、下では抽象的であったものが、上へ登るにつれて次第に具体化されていきます。
【図1:UX設計】
大切なのは「戦略~表層」まで5つの要素が、図1のように一本の軸で設計できていることです。1つの要素が抜けていたり、軸がぶれてしまっていたりすると良いUX設計とは言えません。
まずは「ユーザー目線に立つ」ことを
UXデザイン業務を担当している筆者は、「戦略~骨格」の領域を主に担当しています。
サイトコンセプト立案からプロトタイプ作成まで、一連の流れで業務する(戦略~骨格)こともあれば、メンバーから引き継ぎワイヤーフレーム作成のみ担当する(骨格)こともあります。
先ほどUX設計における5つの要素のうち「1つの要素が抜けていたり、軸がぶれてしまっていたりすると良いUX設計とは言えない」とお伝えしましたが、担当した当初は「良いUX設計」が中々できず頭を抱えました。
ターゲットに沿ってカスタマージャニーマップを書いて、必要なコンテンツ要素を洗い出して、とステップを踏んでいるのにワイヤーフレームにはきちんと落としきれていなかったりしたことがありました。それぞれのステップをこなすことに満足し、前のステップを振り返らずに進めてしまっていたのです。だから、先輩にワイヤーフレームをチェックしてもらうと、「それって本当にユーザーにとっていいサイト構成?」と指摘を受けたり、自分自身では「イケてるサイトコンテンツだ!」と思って提案してもイマイチだったり。
根本的な話かもしれないですが、自分にとって良いサイトとユーザーにとって良いサイトは違うのです。筆者にとってまずは「ユーザー目線に立って考えること」を習慣化することが必要でした。
今すぐ実践できる「3つの習慣」
「ユーザー目線に立って考えること」を習慣化するために、先輩からのアドバイスも含め、筆者が新卒の時からこれまで日常の生活で大切にしている、「3つの習慣」をご紹介します。
1.「伝える」より「伝わる」を心掛ける
自分が「伝える」べきことを整理し、相手に「伝わる」内容にすることは、「ユーザー目線に立って考える」ことと同じです。さらに、「伝える」べきことを整理するとは、「伝えること=情報」に優先順位をつけて組み立てていくことなので情報設計にもつながります。
特に、メール・チャットでの業務連絡は、必ず送る相手(ユーザー)がいるので、ユーザー目線に立って考えることを癖付けるのにはもってこいです。
例えば、クライアントに急ぎ確認事項がある場合のメールでは、タイトルと本文の冒頭に返信期日を明記し、確認事項が複数ある場合は箇条書きにして1.2.3.と番号を振ることで、相手にいつまでに何をして欲しいのかが伝わりやすくなります。
2. 「体験」の機会を増やす
自分自身もいちユーザーです。いちユーザーとして、大きなことから些細なことまで様々なサービスを体験する機会を増やしましょう。日常の些細な「体験」の機会を増やす方法として、使っている公式アプリプッシュやLINEアカウントの通知をオンにすることもその1つです。どんなタイミングでどんな内容の通知が来たときに興味をもったか、もしくは興味をもたなかったのか、を考えることで良い体験・悪い体験をストックすることができます。
さらに大切なのは自分自身で体感するだけでなく、「ユーザーはどう体感するのか」を考えることです。例えばプッシュ通知が来た時に、「どんなユーザーに何をして欲しくて送られているのか」という通知の意図を捉え、それに対して「送られたユーザーはどう感じ、どう行動するだろうか」について考えます。そうすることで、ユーザー目線に立って体感する機会を増やすことができます。
また、通知そのものの仕組みやキャンペーン情報等、他社の事例を知ることができ、施策実施する際の参考にもなります。
3. 日常の不満から課題を見つける
UXデザインの目的は「ユーザーの課題を解決すること」です。従ってUXデザイン業務において、「ユーザーの課題を発見する」力も求められます。
そして課題は、不満に感じたことに対して「なぜ?」と繰り返し問い、不満に感じた原因や理想(あるべき姿)を明らかにすることで発見することができます。だから、「日頃の生活で不満を持つ」ことで、課題発見のチャンスを増やすことができるのです。不満を持つということはネガティブなイメージもありますが、「ちょっと使いにくいけどまあいいや」と我慢するのではなく、「ちょっと使いにくいな。なんでだろう?」と考えてみて、課題を見つけましょう。
例えば、筆者の直近の不満は、コンビニやドラッグストアでのエコバックに商品を詰めるタイミングがわからないことです。レジ袋が有料化されてからエコバックを使っているのですが、商品を袋詰めする自分を見ている店員と微妙な雰囲気になるし、後ろに人が並んでいると焦ってしまうのです。(袋詰めするタイミングを逃し、とりあえず商品を手に抱えてお店を出たこともあります。)本来はスムーズに会計と商品の袋詰めを済ませたいのに、エコバックユーザーが袋詰めするタイミングに悩んでしまうことから、「これまで店員が袋詰めしていたコンビニやドラッグストアには、エコバックユーザーが余裕をもってセルフで袋詰めさせる仕組み(袋詰めエリアの設置等)が必要である」という課題発見につながります。
【図2:日常の不満から課題を見つける】
おわりに
いかがでしたか?すごく簡単ですよね。例として紹介した1つ目の業務連絡の仕方はビジネスマナーでもあるし、2つ目のプッシュ通知オンも意識せずともやっていることかもしれません。ただ、UXデザイン業務と関係しているということを意識すれば、より「ユーザー目線に立って考えること」を習慣化する近道になると思うので、ぜひ実践してみてください。
中軽米 初美
DXディレクション事業部
2018年4月に電通デジタルに新卒入社。入社後は、通信や保険業界を中心にUI/UXコンサルティング業務に従事。獲得やCRMにおける施策の実行から効果分析まで一貫して担当。その他、定性調査やアクセス解析/レポート、WEBサイト構築ディレクションなどに従事。
※所属は記事公開当時のものです。
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